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2018年2月14日水曜日

2017年プロ野球 初球打ち(1)

このブログは毎日バリバリ更新する、というつもりは全くなく、思いつき次第、データが出次第マイペースで更新していこうと最初から思っていたのですが、まさかこんなに放置するとは思いもしませんでした。それでも縁あって立ち寄ってくださった皆様には、こんなブログではありますが楽しんでいただけたらと思います。

さて、2018年の春季キャンプも中盤にさしかかっていますが、2017年のプロ野球を回顧していきたいと思います。2017年は福岡ソフトバンクホークスが日本一になり、大谷選手がメジャーに挑戦し、といったことはもう言うまでも無いので、今回のテーマ、「初球打ち」についてのデータを見てみたいと思います。

もう30年近く前の話になりますが、ファミコンの「ベストプレープロ野球」というゲームに嵌っていたことがありまして、これは選手を操作するのではなく、いろいろな能力値を設定された選手を適材適所に起用してシーズン優勝を目指す、というか、自動采配もできるので、単にペナントの行方をシミュレートだけすることもできる、というものでした(当時にしては斬新)。また、選手のデータは名前も含めて自由に設定することができるため、年度が替わって選手の入れ替えがあったりしても、自分で設定し直して遊べる、というなかなかお得なものでした。

で、それがどうしたということですが、このゲームでは、名前をカタカナにすると、それは外国人選手である、と認識され、初球打ちが多くなったり3ボールからでも手を出しやすかったりする、という設定だったのです。当時の外国人選手といえばおおむね中軸のパワーヒッターなわけで、そういうところから、「パワーヒッター=初球打ちが多い」という認識が私にはありました。確かに上位の打者だと、初回なんかはピッチャーの様子見ということで球数放らせたりするかもしれないし、実際のデータではどうなってるのかな?と思ったので、まとめてみました。

まず、初球打ち打席数ランキングトップ20です。(200打席以上の選手が対象。死球、犠打除く)
うーん、なんとなくですが、事前の予想とはそんなに大きくは外れていない気がする。積極性がたびたび話題になる浅村選手が数字上でもダントツ1位でした。他の上位の選手を見ても、やはり中軸の打者が多いように思います。その中で、9番を打つことが多かった倉本選手が3位というのはちょっと意外だなと思いました(ファンからしたら当然なのかもしれませんが)。また、西武の1~3番が全員ランクインしているのは事前の予想と違ったかな。

とはいえ上位打線は総打席数も多いわけで、必然的に初球打ち打席も増えるのは当然。ということで、総打席数で割って割合を出してみました。

初球打ち率第一位はオリックスの武田選手になりました。こちらのコラムにあるように、積極果敢にいく、という姿勢が現れているといったところでしょうか。そして浅村選手は率でも2位、規定打席到達者の中では1位で、初球から狙う傾向にあるということがはっきりしています。あと、上位打線だからといって必ずしも初球打ちが少ないというわけでもなさそうですね。茂木選手や高山選手といったあたりも顔を出してますし。

とりあえず復帰リハビリとしてはこんな感じです。次回は、初球打ちの多い少ないは分かったので、それが結果に繋がっているか、初球打ちの時の打率を見ていきたいと思います。


2017年10月13日金曜日

高校野球の都道府県別勝率の推移9(九州編その2)

とうとうこのシリーズも最終回となりました。高校野球の都道府県別勝率の九州(大分、宮崎、鹿児島、沖縄)編です。

ちなみにもう一度データについて説明しますと、
データは、夏の大会が1県1代表になった1978年以降の成績を集計しました(集計対象には春の大会も含む)。そして、前後5年間(当年を合わせて合計11年間)の勝率の推移、言ってみれば勝率の移動平均のようなもの、をグラフにしてみました。
ということです。それでは見ていきましょう。


まず、2000年代の異常な沖縄の異常ともいえる安定感が目に入ります。2010年興南の春夏連覇を筆頭に、1999年から現在まで春優勝3回、夏優勝1回を誇ります。またそれ以前も1980年代前半の興南、後半~1990年代の沖縄水産と黄金時代を築き、その後少し停滞しますがすぐに浦添商、沖縄尚学とまた強豪校が現れて、ほとんど穴がありません。ここ最近でちょっと成績を落とし気味ですが、それでもしっかり5割キープです。

1990年代に沖縄を上回る成績を残したのが鹿児島。1984年から2000年までの間にベスト8に入ること春夏合わせて13回。当時の鹿児島で強豪というと鹿児島実、鹿児島商、鹿児島商工(現・樟南)の3校ですが、どこが出てきてもいつも上位に進出する感じでした。県大会は本当に激戦だったと思います。決勝進出は1994年夏の樟南(準優勝)、1996年春の鹿児島実(優勝)、2005年春の神村学園(準優勝)の3回ですね。どちらかというと春の方が少し成績は悪いのですが、唯一の優勝を含む決勝進出2回と、勢いがつけば無敵の春です。

さほど印象はなかったが好成績を残しているのが宮崎。夏のベスト8進出は1981年都城商、1993年小林西、2001年日南学園、2009年都城商、2013年延岡学園(準優勝)と、何年かおきに安定的に上位進出している印象。また春は出場が少ないながら、1995年日南学園、1998年高鍋、1999年日南学園と5年で3回のベスト8進出があります。出場が少なくても出場すれば勝ち進むというのは勝率的には非常に有利に働きますね。あとは比較的初戦敗退が少なく、常に5割前後をキープしている、堅実な県です。

最近苦しいのが大分。ここも個人の印象としては、単なる初戦敗退でなく、結構大差で負けることが多い。2008年夏(大阪桐蔭16-2日田林工)、2012年夏(常総学院14-0杵築)、2015年夏(仙台育英12-1明豊)など。しかしこうしてみたら、実力というよりもくじ運ですね…まあそれでも1980年代は強豪県でした。1978年から1988年までに夏4回、春1回のベスト8進出があり、この時期の勝率はやはり6割近いです。その後も柳ヶ浦、明豊、楊志館と上位進出がありましたが、2012年から2016年まで夏5年連続初戦敗退が痛かった。とはいえ、2017年夏は明豊が見事2勝を挙げベスト8進出。勝率0の危機を脱した大分、今後の巻き返しに期待です。

以上、47都道府県について勝率の推移を見てきました。勝率が上がっている時期を見たら、ああ、この高校が活躍してた時かーとか、いろいろ見てて面白かったです。読んでくださった皆様も、何か思い出すところがあれば幸いです。これまでお読みいただいてどうもありがとうございました。

高校野球はもう来年の春に向けた戦いが大分進んでいます(北海道は決まりかな?)。一冬超えてたくましくなった球児を春に応援するのを楽しみにしたいと思います。

次回からは、先日レギュラーシーズンが終幕したプロ野球に焦点を当ててみたいと思います。

2017年10月10日火曜日

高校野球の都道府県別勝率の推移8(九州編その1)

こんにちは。体調不良ではご心配ご迷惑をおかけいたしました。ようやく体調も戻り、また頑張っていきたいと思います。
都道府県別勝率推移シリーズは最後の九州編になります。最近文が長いので、二つに分けたいと思います。今日は福岡、佐賀、長崎、熊本編です。

ちなみにもう一度データについて説明しますと、
データは、夏の大会が1県1代表になった1978年以降の成績を集計しました(集計対象には春の大会も含む)。そして、前後5年間(当年を合わせて合計11年間)の勝率の推移、言ってみれば勝率の移動平均のようなもの、をグラフにしてみました。
ということです。それでは見ていきましょう。


まず福岡ですが、私の出身地です。もちろん注目して見ているわけですが、そんなに強いというイメージは持っていませんでした。ただ、1988年福岡第一準優勝、1989年福岡大大濠ベスト8、1990年西日本短大付ベスト4、1991年柳川ベスト8、1992年夏西日本短大付優勝という夏5年連続ベスト8以上というのは黄金時代に思っていましたけど。それが1990年あたりの勝率の山になっているわけですが、実はこの5年間は春が5戦全敗でして、それが勝率の頭打ちの原因です。それ以降は、ベスト8進出が春8回、夏2回と、どちらかというと春に強い傾向を持ちながら、九州国際大付の活躍を筆頭に、まずまずの勝率を維持しています。

また、今年ついに福岡を抜き去ったのが熊本。これはまさに2016年春夏、2017年春と3期連続ベスト4進出の秀岳館の功績ですね。また、1980年代前半~中盤も高勝率ですが、これは1981年夏鎮西ベスト4、1982年夏熊本工ベスト8、1984年夏鎮西がまたベスト4という時代のものです。しかし福岡同様、この時期の春の成績がいまいちで、勝率もそれなりになっています。1993年あたりに落ち込みがありますが、ここらの時期も、夏は毎年1勝程度しているのですが、春の調子が良くありません。このときグンと強くなった九州学院も1勝止まり。これを打破するのは2007年ベスト4の熊本工まで待たないといけません。それからは春夏ともに安定してきています。

長崎は、私が高校野球を見始めた頃は、いつも負けてばかりという印象でした(長崎の方すみません)。事実、1985年から1991年まで7年連続夏は初戦敗退となっています。まずそれを止めたのが1992年の佐世保実。元巨人の村田善則捕手がいたときですね。その後、長崎北陽台、波佐見がベスト8進出を果たし、長崎日大の時代がやってきます。そしてその次に現れたのが清峰。特に清峰は2006年春準優勝、2009年春優勝と、長崎に春をもたらしました。勝率もこの頃がピークです。最近になってちょっと息切れしてきた感がありますが、2016年春に海星がベスト8入りを果たしているように、まだまだやってくれる期待は大です。

最後に、ちょっときついのが佐賀。ここ5年で、勝利は2013年夏の有田工の1勝のみ。春に出場がないので、かえって勝率としては上がっていますが、来年勝ち星がないと、この計算方法では勝率が0になってしまいます。春は出場自体が少なく、勝利は2000年の佐賀商までさかのぼります。ただ、ご存じの通り、予想もしなかった大活躍をたまに見せるのが佐賀県。1994年夏の佐賀商、2007年夏の佐賀北と、あれよあれよと優勝まで駆け上がりました。また、この二つの優勝の間は、佐賀商が1勝、佐賀学園が2勝、神埼が1勝、鳥栖商が2勝と、勝率としては悪くない時期でした。今は厳しい時期ですが、またいい時代はやってくるはずです。

以上となります。次回は本当に本当の最終回。このシリーズが終わったらまた新しいネタが必要となりますが、ちょうど時を同じくしてプロ野球のレギュラーシーズンが閉幕するので、またいろいろ仕込んでおきたいと思います。

今日もご覧いただきまして、ありがとうございました。

2017年10月5日木曜日

お詫び

こんにちは。

いつもブログのご愛顧ありがとうございます。ただいま本業のデータ分析がかなり立て込んでいることと、体調がちょっと良くないため、数日間の間更新をお休みさせていただきます。

楽しみにしてくださっている方がいらっしゃいましたら申し訳ないのですが、また元気になったら再開しますので、どうぞよろしくお願いいたします。

2017年10月2日月曜日

高校野球の都道府県別勝率の推移7(四国編)

こんにちは。また更新お休みしてしまってすみません。週末は自分の試合で忙しかったりするのです。
さて、気を取り直して都道府県別勝率推移シリーズも残すところあと2回。今日は四国編です。

ちなみにもう一度データについて説明しますと、
データは、夏の大会が1県1代表になった1978年以降の成績を集計しました(集計対象には春の大会も含む)。そして、前後5年間(当年を合わせて合計11年間)の勝率の推移、言ってみれば勝率の移動平均のようなもの、をグラフにしてみました。

ということです。それでは見ていきましょう。



四国は野球どころというだけあって、かなり高水準で推移していますが、ちょっと苦しいのが香川。2009年あたりは1割ちょっとと危機的な数字になっています。実際、2009年のデータに入っている期間ですと、2006年夏香川西、2011年夏英明がそれぞれ1勝ずつ挙げているだけです。またこれは個人の印象になりますが、結構な点差で負けていて、ちょっと辛い時期だったと思います。それを救ってくれたのが2016年春の高松商の準優勝ですね。これでかなり持ち直しました(2011年に勝率が跳ね上がってる)。そしてそれが2017年夏の三本松のベスト8に繋がります。このまま香川復活といってほしいものです。

次に愛媛を見てみましょう。こちらも高水準を維持していますが、ピークは1998年あたりですね。この時期は1996年夏松山商優勝(奇跡のバックホーム)、2001年夏松山商ベスト4、2002年川之江ベスト4、そして済美の2004年春優勝に夏準優勝と、大活躍でした。その後も今治西の活躍などあり、2000年代は順調に勝ち星を重ねていきます。2010年あたりから雲行きが怪しくなってくるのですが、それでも2013年に済美が安楽投手を擁して準優勝したり、底力があります。また、1980年代後半には、宇和島東の春優勝、新田のはる準優勝がありました。余談ですが、新田のユニフォームにひらがなで「えひめ」と書いてあったのが印象的です。

次に徳島。このグラフに入ってくる1980年代前半は池田の絶頂期ですね。それを反映して、7割近い勝率になっています。池田黄金期以降は優勝こそありませんが、2002年春鳴門工準優勝、翌2003年春徳島商ベスト4を筆頭に、夏はベスト8が7回、ベスト16も7回と、非常に安定した戦いを見せます。この5年も鳴門が9勝していますし、徳島の皆さんは非常に高校野球を楽しめてるんじゃないかと思います。

最後に高知。こちらも徳島と同じように安定しています。最近では高知の成績=明徳義塾の成績と言っても過言じゃない気もしますが、1990年代前半くらいまでは高知商の天下でしたし、2005~2010年は夏は高知高校が主に出場していました(明徳義塾の出場辞退もありました)。ということで、高知県については県内でそれぞれの学校に黄金時代があり、黄金時代に入った学校は全国でも活躍する、というパターンになっている感じがします。高知商時代→明徳義塾時代→高知時代→また明徳義塾時代、といった感じですね。あと、1995年から2004年まで10年連続初戦突破というのは素晴らしい成績だと思います。

辛い時代を過ごした香川も復調気配ですし、また野球どころ四国の活躍を見たいと思います。

さて来週はシリーズ最終回、私の故郷九州を見てみます。
本日もお読みいただきまして、ありがとうございました。

2017年9月28日木曜日

高校野球の都道府県別勝率の推移6(中国編)

こんにちは。昨日は更新お休みしてしまってすみません。本業のデータ分析もいろいろありまして…
さて、気を取り直して都道府県別勝率推移シリーズ六回目、今日は中国編です。

ちなみにもう一度データについて説明しますと、
データは、夏の大会が1県1代表になった1978年以降の成績を集計しました(集計対象には春の大会も含む)。そして、前後5年間(当年を合わせて合計11年間)の勝率の推移、言ってみれば勝率の移動平均のようなもの、をグラフにしてみました。

ということです。それでは見ていきましょう。



最近中国勢は調子が悪いよなあという印象は持っていたんですが、やはりデータもそれを裏付けています。唯一広島だけがなんとか高水準を維持しているという感じですね。その広島ですが、野球どころというだけあって、コンスタントに上位進出校を輩出しています。1982年夏広島商準優勝、1988年夏広島商優勝、1991年春広陵優勝、2003年春広陵優勝、2007年夏広陵準優勝、2017年夏広陵準優勝と、35年で実に6回の決勝進出を誇ります。その他ベスト4ベスト8進出も多数です。夏は1993年~1995年、2012年~2014年と、3年連続初戦敗退というのもありますが、最長で3年というのも優秀ですね。ここ10年くらいは広陵が孤軍奮闘かと思われましたが、広島新庄の活躍もあり、層の厚みも感じられるようになりました。

2017年のデータで中国2位の座を奪い返したのが山口。1980年代の好成績は何と言っても宇部商の活躍なしには語れません。「甲子園は清原のためにあるのか!」でおなじみの決勝戦は1985年ですね。そのほかにも1988年春夏ベスト8、2005年夏ベスト4と、まさに山口球界を牽引してきました。その他はベスト8がある程度で、最近は苦戦気味ですが、面白いデータがあって、春は約10年ごとにベスト8に進出しています(1978年南陽工、1988年宇部商、1997年西京、2009年南陽工)。このジンクスにのっとると来年春あたり活躍校が出そうですね!

さて、山口にナンバー2の座を奪われた岡山。特筆すべきは1998年あたりの黄金期でしょう。この時期は1999年夏の岡山理大付の準優勝を筆頭に、夏は1994年関西~2005年関西まで、実に13年連続初戦突破というすさまじい記録を持っています。また、この間は春も初戦敗退は1994年の岡山理大付と2005年の関西のみ。しかも1995年春関西、1996年春岡山城東、2002年春関西と、春も3度のベスト4進出があります。この時期は基本的に関西黄金時代ともいうべき時期ですね。その後も2007年関西ベスト8、2011年夏関西ベスト4、2012年夏倉敷商ベスト8と成績は残してきたのですが、ここ5年は夏0勝5敗、春1勝4敗と絶不調。今年のデータには、2012年の倉敷商ベスト8の記録が含まれているので救われていますが、来年結果を出さないとさらに勝率はがた落ちしてしまいます。なんとか頑張って欲しいところです。

苦戦が予想されていた山陰勢、島根は2007年ごろにピークがありますね。このころは開星がよく出ていたので、開星が引っ張っていたのかと思いきや、好成績は2003年夏の江の川ベスト4、2009年夏の立正大淞南のベスト8あたりが目立っています。開星もそれなりに勝ってはいるんですが、なかなかベスト8まではたどり着けていない状況です。しかし最近は2012年に立正大淞南が1勝して以来春夏ともに勝ち星がなく、来年勝ち星がないとついにグラフが0に落ち込む危機です。なんとか踏ん張って欲しいと思います。

最後に鳥取。こちらは、グラフの左端、1983年あたりではいい数字を残しています。これは春の倉吉北の活躍で、1979年ベスト8、1981年ベスト4と、鳥取球界をまさに牽引しました。夏は1956年の米子東以降、2勝を挙げた年がなく、苦戦が続いていますが、春は比較的成績が良く、先述の倉吉北以降でも、1988年に倉吉東が2勝、1993年に鳥取西が1勝、1996年に米子東が1勝、2008年に八頭が1勝と、それなりに白星を挙げています。春の大会に鳥取勢が出場することは多くないのですが、出たときにはしっかり結果を残す、という感じですね。しかし鳥取も最後の白星は2014年夏の八頭ということで、勝率0の危機は確実にやってきています。今年大阪桐蔭といい試合をしたという自信を持って、頑張って欲しいところです。

さて、次回は四国編となります。四国も野球どころと言われて久しいですが、どんな結果になるのでしょうか。

今日もお読みいただきまして、ありがとうございました。


2017年9月26日火曜日

高校野球の都道府県別勝率の推移5(近畿編)

こんにちは。早いもので高校野球都道府県別勝率推移シリーズも第5弾、今回は近畿編です。

ちなみにもう一度データについて説明しますと、

データは、夏の大会が1県1代表になった1978年以降の成績を集計しました(集計対象には春の大会も含む)。そして、前後5年間(当年を合わせて合計11年間)の勝率の推移、言ってみれば勝率の移動平均のようなもの、をグラフにしてみました。
ということです。

それでは見ていきましょう。


近畿は強豪揃いというイメージがありますが、果たしてそのような結果と相成りました。特にやっぱり大阪がずば抜けてますね。この10年で大阪桐蔭が夏3回、春2回の優勝。また2017年春は同じ大阪の履正社も準優勝で、今年はついに勝率が8割を超えました。2005年あたりで落ち込んでいますが、それでも5割。集計当初のPL学園黄金時代から上宮の活躍を挟み、今は大阪桐蔭、履正社と、常にトップクラスの高校を擁し、世代交代も非常にスムースにいっていて、文句のつけようがありません。

一方、一時はその大阪を凌駕する勝率を誇りながらも最近の凋落が激しいのが和歌山。大阪の上を言っている1997年から2005年あたりはとにかく智辯和歌山が大爆発した時期でした。1994年から2002年の間に春は優勝1度準優勝2度、夏は優勝2度準優勝1度、ベスト4が1度と、手のつけようもない強さでした。ただここ5年で見ますと、春は0勝4敗、夏は2勝5敗と非常に苦しい。今年の智辯和歌山は対戦相手に恵まれませんでしたが、復活の兆しは見せたので、今後に期待です。

京都、奈良、兵庫は常に5割前後で安定している感じですね。京都は1997年夏平安、1998年夏京都成章の連続準優勝と2005年夏の京都外大西の準優勝のデータが入った2001年あたりにピークが来ていますね。また最近は、夏はさほどの成績ではありませんが、春が2013年の龍谷大平安の優勝、2016年のこれまた龍谷大平安のベスト4と好成績なので、それなりの勝率を維持しています。

奈良は1986年夏、1990年夏の天理の優勝で俄然勝率がアップします。また春も1997年天理、2016年智辯学園と、優勝回数は多いです。また、1983年から2017年までの35年で、夏に限って言えば初戦敗退が8回しかなく、ベスト8進出が8回。これは非常に優秀で、この安定感の源泉となっています。全国出場校が非常に限られている奈良ですが、出たチームはしっかり活躍する、そんな県ですね。

一方、実にいろいろなチームが出てきては活躍するのが兵庫。その中でも目立つのは東洋大姫路と報徳学園でしょうか。しかしそれ以外にも、1993年夏優勝、2000年なつベスト4の育英、1999年夏ベスト8の滝川第二、2004年春ベスト4の社、2005年春ベスト4の神戸国際大付、2016年春ベスト8の明石商と、多彩な高校が甲子園の歴史を彩っています。春は2002年から2006年まで5年連続ベスト8以上で、2007年を飛ばして2008年、2009年はベスト4と、すごい成績です。ただしこの時期は夏の成績が良くなく、勝率も頭打ちになっているのが残念。最近の成績の挙動は、京都に似ています。

最後に滋賀ですが、春の成績がいい時期は夏の成績が悪く、夏の成績がいい時期は春の成績が悪くて、トータルとしてはそこそこ、という感じになってしまっているという印象を受けました。まず1980年代前半は比叡山、瀬田工、甲西といったところが夏に活躍し、1979年から1985年までの間に4度のベスト8進出を果たしているのですが、同時期の春は6戦全敗。1990年代以降だと1993年春に八幡商がベスト8、2003年春に近江がベスト8、2016年春に滋賀学園がベスト8と奮闘しているのですが、夏のベスト8以上は2001年の近江の準優勝のみという、なんとも不思議な成績となっています。そしてここ最近は、春はコンスタントに1勝ずつくらい挙げて、なんとかそれなりの数字を保っているという感じでしょうか。

以上、近畿を見てみましたが、近畿っていつも強いよなあ、という印象以上に、山あり谷ありあったりして、興味深かったです。次回は中国地方を見てみます。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。